確定拠出年金に関してよくあるご質問|企業年金連合会
投資教育と一口に言っても実施時期により「導入時」教育と「継続」教育に大別することができます。また、教育メニューについても「確定拠出年金制度等の具体的な内容」「金融商品の仕組みと特徴」「資産の運用の基礎知識」についてバランスよく提供することが必要です。運用知識の教育は重要ですが、それだけが投資教育でないことに注意が必要です。
(1)導入時教育と継続教育
投資教育というと、確定拠出年金制度をスタートさせたときに行う教育をイメージしがちです。しかし、多くの従業員はリスク商品での投資が未経験であることが多く、制度発足時の一度の説明だけで理解するのは難しいといえます。そのため制度への加入時はもちろん、加入後においても投資教育を適切に行うことが必要です。一般には「導入時教育」と「継続教育」という呼び方をします。
法令解釈においてはそれぞれの投資教育の位置づけと留意点について下記のような明示をしています。
[導入時教育について]
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加入時には、実際に運用の指図を経験していないことから、確定拠出年金制度における運用の指図の意味を理解すること、具体的な資産の配分が自らできること及び運用による収益状況の把握ができることを主たる目的として、そのために必要な基礎的な事項を中心に教育を行うことが効果的である。
事業主等は過大な内容や時間を設定し、形式的な伝達に陥ることのないよう、加入者等の知識水準や学習意欲等を勘案し、内容、時間、提供方法等について十分配慮し、効果的な実施に努めること。
[継続教育について]
加入後の投資教育は、加入時に基本的な事項が習得できていない者に対する再教育の機会として、また、制度に対する関心が薄い者に対する関心の喚起のためにも極めて重要である。
加入者が実際に運用の指図を経験していることから、加入前の段階では理解が難しい金融商品の特徴や運用等についても運用の実績データ等を活用し、より実践的、効果的な知識の習得が期待される。
また、「加入時及び加入後の投資教育については、それぞれ、上記のような目的、重要性を有するものであり、その性格の相違に留意し、実施に当たっての目的を明確にし、加入後の教育を含めた計画的な実施に努めること。」と付記しています。
(2)投資教育の内容
私の家のポートフォリオを設定する方法
確定拠出年金における投資教育のメニューというと、とにかく投資理論に関する知識について行うのがすべてであると考えてしまいがちです。しかし、確定拠出年金における資産形成を効率的にはかっていくためには投資理論だけでは不十分です。
投資教育の内容について法令解釈では、「投資教育を行う事業主等は、二で述べたように、加入時及び加入後の投資教育の目的、性格等に応じて、(3)に掲げる事項について、加入時、加入後を通じた全般の計画の中で、加入者等が的確かつ効果的に習得できるよう、その内容の配分に配慮する必要がある。また、事後に、アンケート調査、運用の指図の変更回数等により、目的に応じた効果の達成状況を把握することが望ましい。」とし、下記3つのテーマを掲げています。
- 1)確定拠出年金制度等の具体的な内容
- 2)金融商品の仕組みと特徴
- 3)資産の運用の基礎知識
それぞれのテーマについては下記のような例示をしています。
1)確定拠出年金制度等の具体的な内容
ミューチュアル·ファンドを購入する方法
- アわが国の年金制度の概要、改正等の動向及び年金制度における確定拠出年金の位置づけ
- イ確定拠出年金制度の概要(次の(ア)から(キ)までに掲げる事項)
- (ア)制度に加入できる者とその拠出限度額
- (イ)運用商品(法第二十三条第一項に規定する運用の方法をいう。以下同じ。)の範囲、加入者等への運用商品の提示の方法及び運用商品の預替え機会の内容
- (ウ) 給付の種類、受給要件、給付の開始時期及び給付(年金又は一時金別)の受取方法
- (エ)加入者等が転職又は離職した場合における資産の移換の方法
- (オ)拠出、運用及び給付の各段階における税制措置の内容
- (カ)事業主、国民年金基金連合会、運営管理機関及び資産管理機関の役割
- (キ)事業主、国民年金基金連合会、運営管理機関及び資産管理機関の行為準則 (責務及び禁止行為)の内容
2)金融商品の仕組みと特徴
預貯金、信託商品、投資信託、債券、株式、保険商品等それぞれの金融商品についての次の事項
- アその性格又は特徴
- イその種類
- ウ期待できるリターン
- エ考えられるリスク
- オ投資信託、債券、株式等の有価証券や変額保険等については、価格に影響を与え る要因等
3)資産の運用の基礎知識
- ア資産の運用を行うに当たっての留意点(すなわち金融商品の仕組みや特徴を十分認識した上で運用する必要があること)
- イリスクの種類と内容(金利リスク、為替リスク、信用リスク、価格変動リスク、インフ レリスク等)
- ウリスクとリターンの関係
- エ長期運用の考え方とその効果
- オ分散投資の考え方とその効果
項目は多岐に及びますが、ここに掲げたテーマはあくまで「少なくとも」実施すべき内容であって、これだけ教えればいい「最低ノルマ」ではないことに注意が必要です。
理解を深めていくために必要と考えられる項目があれば、随時追加していくことが必要です。たとえば、上記の知識を実効性のあるものとするために、ライフプランニングの考え方の理解や運用計画の立て方、見直し方を学ぶなどの項目が考えられます。
また、必要な情報提供のひとつとして個々の運用商品の情報提供(商品概要や手数料、過去の運用実績等)があります。ただし、これは事業主の責務ではなく、運営管理機関の義務になります。一般には投資教育を実施する際に一定時間を割いて商品説明を運営管理機関の担当者が行う形式をとります(制度発足後は、ホームページ等を介して最新の情報が閲覧できるようになります)。
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